アメリカで普及している高齢者住「CCRC」は、シニアが安心して暮らせるコミュニティ(住まい)のこと。日本でも国を挙げてCCRCを実現させるための取り組みが始まっています。

 

日本でも注目が高まっているCCRC


アメリカの高齢者住宅「CCRC(Continuing Care Retirement Community/高齢者健康コミュニティ)」は、全米におよそ2000箇所あり、80万人規模の後期高齢者が人生を楽しみながら、医療・介護の心配が無い環境で暮らしています。

 

そして最近、日本でも日本版CCRCへの注目が高まっています。国が発表した、地方への新しい人の流れを作る「地方創生」のための施策のひとつとして、「日本版CCRC構想」が採用されたからです。

 

1991年から米国に留学してアメリカのCCRCにいち早く感銘を受けた私は、以来、日本でもCCRCを啓蒙・普及させるためにさまざまな活動を行ってきました。その一環として、去る9月15日「第1回日本版CCRC研究ツアー」を実施し、7日間にわたってアメリカ各地の最新CCRCを視察してきました。

 

この視察では日本でCCRCをつくるためにはどうすればいいか?ということについて考え、学び直す機会になりましたので、お伝えしたいと思います。

 

会社と同様。まずは経営理念を定めることが大切


CCRCの特色は、高齢者のニーズに応じて「自立型住まい」→「支援型住まい」→「介護型住まい」と住み替えられえる3種類の住まい、そして各住まいへのサービスを統括するシステムがバランスよく機能していることです。

 

CCRCでは自立した段階から加齢と共に少しずつ支援が必要な段階を経て人生の最終段階まで継続したケアが提供され、尊厳が守られ、自立支援を基本とし、豊かに暮らせる理念と設備が整っています。

 

CCRCの構築は、日本では各自治体が中心となって進めていますが、実際の経営はNPO法人や一般企業、医療法人に任されています。

 

ですからCCRCを実現させるためには、まずは経営理念を定めることが一番重要な手続きになります。そして経営組織をどこにするかを決めます。

 

次にファイナンス(資金調達)について検討・交渉していきます。平行して立地条件を検討し、敷地を探します。3種類のハード(自立型住まい・支援型住まい・介護型住まい)について、規模や仕様などを検討し、設計に反映します。

 

それと同時に、運営ソフト(自立、支援、介護および、認知症のシニアへのプログラムなど)を作成していきます。

 

続いて、入居プロモーション、広報、入居募集へと移行し、入居募集が終わればマネジメントを考えて実行し、人材育成の仕組みを作ります。

 
最後に第三者経営統治委員会による安定した経営統治の仕組みをつくり、日本版CCRCの構築が終了します。

 

今回視察したCCRCの経営理念の中には、「皆さんを幸せにすること(Keeping Everybody Happy!)」と、ごくシンプルなものもありましたが、これはとても重要なことです。

 

表2に示すのは、米国のCCRCの発展に寄与した「ケンドール」の経営理念で、正しい価値観と人材育成を要としています。このCCRCは日本では大学連携CCRCとして知られています。

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☆次号へ続きます。

 

※雑誌ゴールデンライフへの執筆記事から。