アメリカで普及している終の住処「CCRC/高齢者健康コミュニティ」は、いよいよ日本でもその取り組みが本格的になってきました。今号は日本版CCRC研究のためのアメリカ視察についお話します。

 

いよいよ日本でもはじまったCCRCの施策


アメリカの高齢者住宅は、特に後期高齢者のニーズに応えるよう様々に発展しています。終の住処の理想モデルとしてアメリカで普及している「CCRC(Continuing Care Retirement Community/高齢者健康コミュニティ)」もその一つです。

 

米国にはCCRCがおよそ2000ヶ所あり、80万人程度の後期高齢者が人生を楽しみながら、医療・介護の心配のない環境で暮らしています。そして最近、日本でも地方創生の中で日本版CCRCへの注目が高まっていますが、アメルカとは風土や文化、制度が異なる日本において、どんなアイデアを持って日本版CCRCを実現していけばよいのでしょうか?そこで今回は日本版CCRC研究・開発の参考のために、9月に計画している米国CCRC視察の概要についてお話したいと思います。

 

米国CCRC視察の概要


視察先は私がCCRCを研究するきっかけとなったエリクソンリビング社の「チャールズタウン」を含む次の7つのCCRCとアクティブアダルトリアイアメントコミュニティ(AARC)です。

 

日本版CCRC研究 米国CCRC視察ツアー【日程表】

 

■チャールズタウン・エリクソンリビングCCRC
1981年ジョン・エリクソン氏によって大学校舎を改修して創設された米国を代表するCCRC。詳しくは、こちらをご参照ください

 

■ライダーウッド・エリクソンリビングCCRC
エリクソンリビング社がヴァージニア州で開発したCCRC。自立型住まいが1409室、支援型住まいが100室、介護型住まい(スキルド・ナーシング・ユニット)が180室ある。入居一時金が100%返還される。

 

■グルーンスプリング・エリクソンリビングCCRC
エリクソンリビング社の最大規模のCCRC。1999年から開発された。メリーランド州にある。自立型住まいが1966室、支援型住まいが160室。介護型住まいが212室ある。入居一時金の90%が返還される。

 

■アズベリー・メソジスト・ビレッジCCRC
米国で12番目に大きなCCRC。自立型から要介護型までの完全な継続ケアを行っている。自立型は一戸建てのコートヤードホーム、連棟式住宅のヴィラ、マンションタイプの住宅から選ぶことができる。認知症ケアやリハビリテーション治療サービスも行っている。

 

■メープルウッド・パークプレイスCCRC
入居者自身が所有し運営するCCRC。入居者からなる運営委員会が最終決定権を持っている。一棟のマンション形式の建物内に207の自立型住まい、21の支援型住まい、31の介護型住まいがある。医師による医療相談のほか、あらゆるサービスが建物内で受けられる。

 

■ベッドフォード・コートCCRC
1981年に設立され、全米とカナダおよび英国に300近い高齢者コミュニティを運営するサンライズ・シニア・リビング社のCCRC。長い経験と多くの実績に基づいたサービスとケアで高い評価を得ている。特に知的好奇心や運動能力を活性化させる多彩なアクティビティが好評。

 

■レジデンス・アット・トーマス・サークルCCRC
ホワイトハウスに近いワシントンDCの地中心地にある。短期間高齢者を預かるショートステイサービスも行っている。自立者のためのウェルネス・センターがあり健康増進のため医療相談などさまざまなサービスが受けられる。

 

■レジャーワールド・イン・メリーランドAARC
CCRC入居者よりも若い高齢者(55歳以上)が移り住む「アクティブアダルト・リタイアメントコミュニティ(AARC)」で、「+55コミュニティ」とも呼ばれる。メリーランド州にある。敷地内に5600戸の戸建住宅があり、約8000人の高齢者がコミュニティをつくっている。コミュニティ内には、18ホールのゴルフ場、2つのクラブハウス、屋内と屋外にスイミングプール、テニスコート、レストラン、シャトルバスサービス、および薬局併設のメディカルセンターがある。

AARC内の建物間を自由に行き来できるスカイウェイ
 

※雑誌ゴールデンライフへの執筆記事から。

 


本視察に関する詳細は、第1回日本版CCRC研究 米国CCRC視察ツアーの開催のお知らせに記載しております。