アメリカで普及している終の住処の理想モデル「CCRC(健康コミュニティ)」では、一体どんな暮らしができるのでしょうか。今回は、CCRCでの生活の様子を紹介します。

 

CCRCでの生活風景。終の棲家の理想モデルとは?


終の住処の理想モデルとして、アメリカで普及しているCCRC(高齢者健康コミュニティ)は、「白立型住まい」を中心とした予防・医療・ 介護サービスを総合的に提供するシステムです。「継続したケアを提供する」という基本理念に基づいて、高齢者の自立と尊厳を守ることを重要な方針としています。

 

しかし、わが国ではCCRCが整備されていないために、そこでの生活がどんなものか、どんな価値や意義があるのか、ほとんど知られていません。そこで今回は、実際に私がアメリカ でお話しを伺った、CCRC「自立型住まい」を終の住処として選んだ2組の、具体的な暮らしぶりを紹介しましょう。

 

CCRCでの生活風景1

 

Q.自立型住まいにご入居のAさんの場合(86歳・女性)


Aさんは2年前にご主人に先立たれ、一人暮らしが不安になってきたことで、娘たちに勧められてCCRCに入居しました。

 

ここを選んだのは、今後の費用についておおよその日安がつけられる経済的な理由と、長期間の医療・介護 支援体制がベストではないかと考えたからです。

 

Aさんは毎朝7時らいに起きると、まずはCCRCの周りを散歩します。その後、トレーニングルームで運動。ここのプログラムは、リハビリセンターの理学療法士が作ってくれています。運動の後は簡単な朝食をつくり、TVを観ながら1日の予定を確認。今日は午前中に絵画教室があり、楽しみにしています。

 

昼食はたいてい居室でつくりますが、達とカフェでおしゃべりをしながらランチを楽しむこともあります。 月に2回、金曜日の午後は医療相談があり、医師と看護師が常駐しているCCRCの医療センターに行きます。健康チェックを受け、体調変化・薬剤管理・医療的な不安も相談できるそうです。ここでは入居以来のAさんの医療データを記録蓄積しており、異常時はすぐに対応してくれるので喜んでいます。

 

夕食時、Aさんは少しおめかしをしてCCRC内のレストランに行きます。通常メインディ シュは、魚料理、肉料理、パスタの3種類が用意され、その中から1つを選べるようになっています。友達といろいろな話をし、20時過ぎころには居室に帰ります。末娘が孫を連れてきて、21時頃までおしゃべりをすることが今の一番の楽しみだそうです。そして入浴し、紅茶を飲んでテレビを見た後、午後時前にはベッドに入り、就寝します。CCRCでは、ナースコールがベッドサイドにあり、万が一の時はそれを押せばスタッフが飛んできてくれるので、夜も安心して眠れるとのことです。

 

Q.自立型住まいにお住いのBさんご夫婦の場合(夫88歳・妻85歳)


Bさん夫婦は、このCCRCから15km離れた家で暮らしていましたが、奥様のもの忘れが多くなり、歩行やトイレでふらつくようになったため、自立型住まいにご夫婦で入居されました。

 

奥様はアルツハイマー病の初期と診断されました。CCRCへの入居には、自宅を売って入居一時金をつくられたそうですが、売却に半年かかり、その間は入居を待たされたそうです。

 

ここを選んだのは、CCRC内の医療センターに常勤ドクターがいて、医療・予防サービスが整っていることが大きな理由だそうです。

 

奥様は編み物や絵画が好きで、CCRCの編み物サークルや絵画サークルに入り、月に2回のサークル参加を楽しみにしています。

 

ご主人は、最近覚えたインターネットが面白く、パソコンサークルに入っています。また、昔からチェスが好きで、いまはCCRC内の気の合った仲間と新しいチェスサークルを作り、楽しんでいます。

 

このように、午後は各自が好きなサークルで毎日を楽しんでいます。ここには家庭菜園があることも魅力の1つです。奥様とトマトやじゃがいもなどを作り、お隣さんに分けたりしているそうです。

 

夕食は、CCRCセンターのレストランで、気の合った仲間とビールやワインを飲みながら、一日の終わりを楽しんでいます。

 

CCRCでの生活風景2

 

※雑誌ゴールデンライフへの執筆記事から。